都会に泳ぐ

Art Work , 2018.10

OVERVIEW

高校時代の私は、日常生活をとても窮屈に感じていた。毎日、同じような生活の繰り返し。自分で何かを選ぶ自由がない。そんな私を水槽にいる魚のようだと思った。けれど、私には水槽の壁を破る意思がなかった。20歳になり、自分で選ぶ権利を手に入れて、周りを見渡すと、多くの人も見えない水槽の中にいるのではないかと感じた。

自分と異質な人と交わることもなく、同質な人と交わる中で個性を純粋培養する。それはさながら金魚のようだ。金魚は、人間が独自に進化させたもので、野生に返すとフナに戻ってしまうという。水槽に泳ぐ金魚の姿を見つめることは、見えない水槽を泳ぐ自分を客観視することでもある。そんな思いでこの作品を制作した。